看護師のためのトラブルと法的知識

検診結果の連絡義務

子宮がん検診を受けられたけれど、

その結果を聞きに来られない患者さんに対し、
医療者はどの程度連絡する義務があるのでしょうか。

検診に際しては、伝えるルールをしっかり決めておくことが大切です。

 

ルールを決めていなかった場合は、
本人に知らせる義務が発生します。

 

適切な伝達のための積極的な作業が求められる場合もあります。

 

 

@がんの検診結果の伝達

 

各人の病気の早期発見、早期治療という「二次予防」のために
検診は行われています。

 

その人をがんで死なせないように、
がん検診は、救命できる時期、
つまり早期にがんを発見するを目的として行われているものです。

 

検診の意義は、がん対策基本法が施工された今、
更に重視されています。

 

忙しい人にも対応できるよう、
医療機関で自由に受診できる方法等が実施されていますが、
検診を受けても結果を聞きに来られない人も多くいます。

 

このような問題を避けるためには、
伝達方法を銃身者の都合に合わせない方法、
あらかじめ郵送することなどを決めておくという方法があります。

 

ですが、あらかじめルールを決めておかなかったり、
性質上郵送等がふさわしくない場合もあります。

 

たとえば、結果が重大な場合など、
本人に直接説明することが必要な場合です。

 

このケースの場合も、後者の場合として考えてみましょう。

 

A 検診をめぐり争われた事例

 

検診をめぐって争われた事例の多くは、
「受診者の異常所見を見落とし、これを知らせなかった」
と言うことを過失とし、損害賠償を求めるというものです。

 

ですが、このケースの場合は、このような事例とは異なります。

 

検診そのものに問題があるのではなく、
検診の結果が判明し、
それを「どのような場合」に「どこまで」本人に連絡する義務
(連絡し受診を促す義務)があるのか、
また本人に連絡が取れない場合にどこまで家族に連絡すべきかという問題です。

 

検診の法的な性質は準委任契約と考えられています。

 

ですから、検診内容については民法上「報告しなければならない(民法645条の準用)と解されています。

 

 *民法645条

 

  受任者は、委任者の請求があるときは、
 いつでも委任事務の処理の状況を報告し、
 委任が終了した後は、遅滞なくその経過および結果を
 報告しなければならない。

 

 

また、医師には、「療養指導義務(医師法23条)」もあります。

 

そこでまずは、本人に説明することになります。

 

これは原則とし、検診で健康上問題があったかどうかに関わらず行います。

 

病院としては、伝える努力を可能な手段で行う必要があります。

 

重篤な場合には、更にこの義務は加重されることになるでしょう。

 

特に、本人に接触が取れないなどの事情があれば、
本人ががんであるという情報を家族に伝えるべきかについてしめした
最高裁平成14年9月24日判決等を参考に、
家族への伝達も考えなけらばなりません。

 

この場合、医療者の守秘義務(刑法134条、保助看法42条の2)は
解除される(許される)と考えられます。

 

 *末期がんの患者さん本人に、その旨を告知すべきでないと判断した医師が、
 患者の家族にもその病状を告知しなかったことは、
 診療契約に付随する義務に違反するとされました。

 

 

B ルールを決めておく

 

検診に際しては、伝えるルールをしっかり決めておくことが大切です。

 

受信者によっては、検診を受けたことすら
家族に知られたくない人もいます。

 

たとえば、

 

 1) 本人が直接○月○日までに検査結果を聞きにくる。
   (検査結果を聞きに来る日を決める)

 

 2) 本人の都合で、1がなされない場合は、
   郵送で指定の住所に検診結果を連絡する。

 

などのルールを決めておきます。

 

そして、このようなルールをしなかった場合は、
いつ、誰に、電話や手紙を差し上げたかなど、
時系列にして書面に残しておくと良いでしょう。