看護師のためのトラブルと法的知識

警察からの電話による問い合わせの対応

自宅で亡くなった患者さんの受診歴があるということで、

警察から電話による問い合わせが突然入ることがあります。

 

警察からの問い合わせ内容は、
主に初診日、病名、処方している薬の内容、最終診察日、病状などです。

 

この場合、個人情報に当たると考えられますが、
答えても良いのでしょうか。

まず、相手方が警察かどうかを慎重に確認することが必要です。

 

そして、患者さんの情報提供を求めている理由が、
個人情報保護法の除外規定にあたるのかをよく吟味し、
個人情報保護管理者と相談し、対処するようにしましょう。

 

@ 個人情報保護のルール

 

2005年4月から個人情報保護法が全面施行されました。

 

この個人情報保護法によって、
今までの医療情報管理のルールが明確になりました。

 

では、この個人情報保護法において
患者情報を治療・診療以外で病院外に提供する場合のルールを見てみます。
●個人情報とは

 

個人情報とは、生存する個人に関する情報であり、
当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により
特定の個人を識別することができるもの、
ほかの情報と容易に照合することができ、
それによって特定の個人を識別することができることとなるものをいいます。
(個人情報保護法2条)

 

今回のケースで、問題となっている「死亡した患者さんの情報」は、
直接には法の対象となっていません。

 

しかし、遺族などのプライバシーにも関わることから、
慎重に対処したほうが良いですし、厚生労働省が作成した
「医療・介護関係事業者における個人情報の
適切な取り扱いのためのガイドライン(告示)」では、
死者の情報も保護の対象としています。

 

 *医療・介護関係事業者における
 個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン

 

  厚生労働省医政局総務課が、2004年6月から10回にわたって有識者を招き、
 医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会を開いて、
 このガイドラインを定めています。

 

  医療分野は、2004年4月の閣議決定では、
 個人情報の保護に関して特に適正な取り扱いが
 行われるべき分野のひとつとされています。
 ですから、最終的には、単行法が必要であると考えられています。

 

  しかし、2007年の内閣府の検討でも、見送られているという状況です。

 

個人情報取り扱い事業者には、以下のようなルールがあります。

 

 1) あらかじめ本人の同意を得ないで(中略)特定された
   利用目的の達成に必要な範囲を超えて、
   個人情報を取り扱ってはならない(目的外利用禁止・同16条1項)。

 

 2) あらかじめ本人の同意を得ないで(中略)第三者に提供しては
   ならない(第三者提供禁止・同23条1項)。

 

このルールを見ると、「警察には答えることはできない。」となります。

 

ですが、例外(除外規定・同16条3項、同23条)もあります。

 

 1) 法令に基づく場合。
 2) 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、
   本人の同意を得ることが困難であるとき。
 3) 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の促進のために
   特に必要がある場合であって、
   本人の同意を得ることが困難であるとき。
 4) 国の機関、若しくは地方公共団体又はその委託を受けたものが
   法令の定める事務を遂行することに対して
   協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより
   当該事務の遂行に支障を及ぼす恐れがあるとき。

 

この1)〜4)に該当する場合は、
禁止規定の除外(許される)とされます。

 

A 警察からの電話による問い合わせの対処手順

 

警察からの問い合わせに答える場合は、
まず、個人情報の取り扱いのルールに沿って考え、
禁止規定の除外に該当するかどうかを確かめなければなりません。

 

その手順は以下のようにします。

 

 1) 相手方が警察かどうか、相手先の電話番号に
   こちらからかけなおすなど慎重に確認する。

 

 2) その上で、どのような理由から患者さんの情報の提供を
   求めているのかを、法文に沿って聴く。
   根拠となる法令も聞いておきましょう。

 

 3) 情報提供は、個人情報保護管理者である
   その施設の患者データ管理責任者が最終責任を負うので、
   個人情報保護管理者と相談したうえで回答する。

 

このように確認手続きを行い、
相手方が応じなければ、こちらとしては責任を持って判断できないので、
お断りすることになると考えるようにします。