看護師のためのトラブルと法的知識

先輩の卑怯ないじめへの対応

同じ病棟の先輩看護師から、いじめに近い扱いを受けています。

 

挨拶をしても無視される、私にだけ旅行のお土産をくれない
という程度であれば我慢できますが
先日は、ロッカーから私の財布がなくなり、
受け持ちの患者さんのベッドの下から出てくるという事件がありました。

 

法的に何らかの対処は可能でしょうか。

労働問題として考えます。

 

上司に改善してもらうように申し入れるほか、
第三者にはいってもらい、話し合うことが適切です。

 

@ 医療現場のコミュニケーション問題として捉える

 

医療現場でのコミュニケーション障害は、
患者さんや患者さんのご家族と医療機関、医療従事者間にあります。

 

医療従事者間も厳密には、以下の2つに分けることができます。

 

 1) ある特定の医療的処置をする際のコミュニケーション問題。
 2) 1)ではない日常のコミュニケーション問題。

 

1)の不全は、医療安全に関わる重大な問題となります。

 

このケースの場合は、2)の問題に入るでしょう。

 

職場では、労働者と使用者、あるいは、労働者と職位が上位のもの、
労働者同士が毎日顔を合わせて、
競争や対立、我慢、協調の中で仕事をしています。

 

良い仕事をしたいと思えば思うほど、
自分の仕事に情熱をかけたり、誇りを持ったりし、
妥協できないギリギリのところで努力しています。

 

そのため、トラブルが起こりがちで、
そのトラブルは大きなもの、小さなものなどさまざまです。

 

特に、看護職は、「サービスとしての笑顔」を患者さんに提供する
従順な姿をモデルとして持つので、
職場内でのストレスはいやがうえにも高まります。

 

それが、同僚への嫌がらせとなってしまうことが少なくありません。

 

このようなケースは、いってみればありがちなことです。

 

A 労働問題として捉える

 

このケースのような、
先輩看護師によるいじめがあるというような場合は、
労働問題、つまり執務・職場環境の問題として
捉えることができます。

 

労働関連法の法律のうち、
労働安全衛生法で、「労働災害」防止という観点から
快適な職場環境の形成のための措置を規定しています。

 

ですが、コミュニケーションに関連して生じた問題については、
明確な法的対応規定はありません。

 

無視やお土産をくれないというようなことは除き、
「財布を無断で隠された」と言うことに限定していえば、
民法709条で責任を問うことも可能です。

 

ですが、法によって解決を考えるのは、
かえって職場での関係をぎすぎすさせてしまうことになるでしょう。

 

最終手段として、法による解決を検討することもありますが、
まずは、お互いが話し合うことによって
解決を図ってみてはいかがでしょうか。

 

看護職が「良いケア」を提供することは、
これを受ける患者の権利です。

 

また、同時に労働者である看護職の権利でもあります。

 

この権利を保障するために、職場内でさまざまな措置を求めることはできます。

 

このような医療従事者が良好な労働条件の下で働くことを求める標語として、
QWL(Quality of Working Life)という言葉があります。

 

このケースでは、場合によっては管理職に申し出て、
本人や相手の配置転換を求めるなどが考えられます。

 

先輩と直接話し合う場合には、
第三者に入ってもらう必要があるかもしれません。

 

その際は、職場の上司ではない人に入ってもらうようにお願いすることが大切です。

 

これをMediation(メディエーション:調停)と呼びます。

 

職場内の揉め事であっても、トレーニングを受けた第三者に依頼し、
間に入ってもらうことができます。

 

利害のない、おしつけがましくない、
公平な第三者が入ることによって、
このような問題は解決に向かうことができます。

 

●Mediation(メディエーション:調停)

 

Mediation(メディエーション:調停)は、
裁判外紛争解決(ADR/Alternatibe Dispute Resolution)の一種です。

 

トレーニングを受けた中立的な第三者が、
当事者の対話を回復するためのサポートをします。

 

全国各地に、このようなサポートをしてくれるNPOが立ち上がっています。