看護師のためのトラブルと法的知識

業務の量と事故の責任の関係

病院管理者や上司と、一日の業務量にあわせて急患以外の予定入院数や

化学療法をする人数をあらかじめ決めています。

 

しかし、一日の化学療法の人数を倍にされる日もあります。

 

業務が重なって、安全に行うことが無理菜のではないかと思い、
その旨の申し入れをするのですが、対応してもらえません。

 

どのようにしたら良いのでしょうか。

健全な労働環境の下で業務をすることが妨げられた場合は、
管理者に申し入れをすべきです。

 

病院管理者がそれに反した場合は、
安全管理義務を媒介したとして、
事故について責任を問われることがあります。

 

@ 業務過重の実情

 

医療費の緊縮化などの影響もあり、
病棟業務にしわ寄せが来ています。

 

ただでさえ忙しいのに、
過重労働であるという話もよく耳にします。

 

患者さんの安全確保やリスクマネジメントが急務とされていますが、
忙しい中に過重労働の現場で実践するには難しい実情があります。

 

ですが、いったん事故が起きれば、
刑事・民事責任ともに、基本は個人責任として、
個人の過失が問われるのが一般的です。

 

そのため、現場の看護師は、
重大のジレンマに陥ります。

 

A 日々の業務への指針

 

日々の業務量の確認は、業務を円滑にするためには必要です。

 

ですが、医療は患者さんが本位ですから、
当然必要に応じて対応しなければなりません。

 

その意味で、適正な業務量には幅があり、
医療を担うスタッフには、柔軟性が必要です。

 

ですが、業務量に幅があるといっても、
限度があるのも当然です。

 

この限度は、ある一定の基準で量ることはできません。

 

ですが、いくつかの指標(メルクマーク)があると思います。

 

たとえば、

 

 1) 複数の看護師が業務量を過重と考えている。
 2) 通常の業務量のときに比べてヒヤリ・ハットがよく起こる。
 3) 看護師に健康を害するものが出ている。

 

などです。

 

B 業務が過重の場合の対応ポイント

 

1)の「複数の看護師が業務量を過重と考えている」というような場合、
その状態を理由も踏まえ、上司にしっかりと伝えるべきです。

 

いままでは、このような窮状を訴え出ることは、
そのものの能力のなさを暴露し、
また、看護の使命に反するとして差し控える傾向にありました。

 

ですが、患者さんの安全で良質な治療という義務が付託されています。

 

「できないものはできない」と伝えることは、
患者さんのためにも必要です。

 

2)の「通常の業務量のときに比べて
ヒヤリ・ハットがよく起こる」というような場合は深刻です。

 

ですから、このような場合は、リスクマネージャーに相談すべきです。

 

ヒヤリハット報告にも業務が過重であることを
しっかり指摘しておくべきです。

 

3)の「看護師に健康を害するものが出ている」というような場合は、
自身が労働者であり、
健全な労働環境の下で業務をする権利を侵害されている場面です。

 

管理者は、労働安全衛生法、労働基準法などにより、
労働者が健康で安全に労働するための、
安全配慮義務を有しています。

 

安全配慮義務に反する場合は、
地域の労働基準監督署に相談することも可能です。

 

もし、1)→2)→3)というような状況があり、
その労働現場の状況を上司などにしっかりとつたえていたのであれば、
これを無視して事故が起こったり、
看護師の健康が害された場合は、
上司等にも応分の責任の負担が求められます。

 

ですから、日ごろから、冷静に現状を上司に伝えることが大切で、
後日のために、その経過の記録をしておくことが必要です。

 

 *労働安全衛生法

 

 1条: この法律は、労働基準法(昭和22年法律第49号)と相まって、
    労働災害の防止のための危険防止基準の確立、
    責任体制の明確化および自主的活動の促進の措置を講ずる等、
    その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより
    職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、
    快適な職場環境の形成を促進することを目的とします。

 

 3条: 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための
    最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と
    労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と
    健康を確保するようにしなければならない。
     また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する
    施策に協力するようにしなければならない。