看護師のためのトラブルと法的知識

院内での盗難事件に対する対応

院内で患者さんの所持品の盗難が多くあります。

 

被害にあった患者さんの中には、
「病院の管理体制が悪い」と看護師に怒りを向けてくる人もいます。

 

患者さんの持ち物に対して、
病院は責任を負うのでしょうか?

個人の持ち物は、個人が管理の責任を負うというのが原則です。

 

@ 病院内での盗難の法的考え方

 

病院内での盗難は、しばしば発生することが多くあります。

 

病院が患者さんの持ち物を特に預かっているとすると、
寄託或いは無形盟約として、
民法657条によりその破損や喪失に対して債務不履行責任を負います。

 

 *民法657条

 

  寄託は、当事者の一方が相手方のために保管することを
 約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

 

しかし、ホテルなどとは違って、
通常は患者さん個人の持ち物については、
平成15年2月28日最高裁判決に例があるように、
病院に保管等の責任はないと考えられています。

 

盗難の被害は、患者さんの所持品の場合もありますし、
医療従事者の所持品、病院内の物品の場合もあります。

 

多くの人が集まり、比較的出入りが自由な病院では、
故意による窃盗を完全に防ぐことはとても難しいことで、
過大なコストがかかります。

 

A 病院内の盗難の実態

 

日本看護協会が2001年10月に行った調査によると、
一年以内に病院内で窃盗被害があったという報告が
半数の病院から寄せられたそうです。

 

また、窃盗被害件数は、病院の規模が大きくなればなるほど増加しています。

 

病院荒らしといわれる窃盗犯が逮捕されるというニュースは、
近年も多く多く耳にします。

 

B 病院内の窃盗事件の対策

 

病院内の窃盗事件の対策としては、
病院としてできることと、患者さん自身ができることがあり、
その対策を行うことがとても重要です。

 

たとえば、病院としては、
声かけを励行するなどして、不審な人を排除するなどの
不審な人が病院内へ入ることへの対策はもちろん必要ですし、
現場の看護師がまずできることとして、
患者さんに不要な金品は病室内に置かないように、
必要な金品はこまめに施錠して保管するように説明することです。

 

そして、患者さんの個人の物品は、
患者さん自身が管理するのだということを理解してもらうと共に、
不審な人物等を見かけたら連絡をしてもらう等、
お互いに管理体制を充実させていくことが必要です。

 

いずれにしても窃盗があると、
患者さん同士が疑心暗鬼となります。

 

被害が生じた場合は、すみやかに対処することが必要です。