看護師のためのトラブルと法的知識

医療者の労働の権利

研修医に「労働者性を認めた最高裁判決が出た」という

新聞報道がありました。

 

これはどのようなものなのでしょうか。

この判決は、医療の現場では、研修医に限らず、
看護職を含む医療職が職務にふさわしい労働者として
権利を守られるべきという、当然な考えの広まりを後押ししたものといえます。

 

ですから、医療者が活き活きと労働していく環境づくりに関心を持津古とが大切です。

 

以下に示した判決を参照にしてみてください。

 

@ 最高裁判決による指摘

 

医師や看護師が過重勤務を強いられていることは、
しばしば指摘されています。

 

そのような中、平成17年6月3日最高裁(第二小法廷)判決では、
研修医の労働者性を認める判決を出しました。

 

この裁判のきっかけは、
大学の付属病院の耳鼻咽喉科に研修医として所属し、
連日早朝から夜間まで研修として勤務し、
裁判所の事実認定では月300時間、残業もい150時間を超えていた医師、
当時26歳が、急性心筋梗塞の疑いで死亡したことです。

 

この医師については、過労死の労災認定がされています。

 

訴訟は、ご遺族が大学に対し、

 

 1) 死亡につき、安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求。
 2) 最低賃金法所定の最低賃金額を下回る給与額しかし
   払われなかったとして、差額賃金の支払いを請求。
 3) 大学は私立学校教職員共済法に基づき共済制度に加入    
   させる義務を怠ったとして、遺族共済年金相当額につき
   損害賠償を請求。

 

というものです。
A 裁判の争点

 

裁判の争点は、臨床医として必要な医学知識・経験等の獲得などの
研修医が有する教育的側面をどこまで考慮するかという点でした。

 

判決は、医学部教育の臨床学習とは異なり、
研修医はすでに取得している医師免許に基づき
医療労務を提供している点を重視し、
労働者と認めています。

 

判決内容『研修医は、医師国家試験に合格し、
医籍に登録されて、
構成労働大臣の免許を受けた医師であって(医師法2条、5条)、
医療行為を業として行う資格を有しているものである(同法17条)ところ、
同法16条の2条1項は、医師は、免許を埋めた後も、
2年以上医学を複数する仮定をおく大学に付属する病院
又は構成労働大臣の指定する病院において、
臨床研修を受けなければならないと定めている。
この臨床研修は、医師の資質の向上を図ることを目的とするものであり、
教育的な側面を有しているが、
そのプログラムに従い、臨床研修指導医の指導の下に、
研修医が医療行為等に従事することを予定してる。
そして、研修医がこのようにして医療行為等に従事する場合には、
これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を
不可避的に有することとなるのであり、
病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り、

上記研修医は労働基準法9条所定の労働者にあたるものというべきである。』

 

 *労働基準法9条

 

  労働基準法9条で、「労働者」とは、職業の種類を問わず、
 事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。

 

B 判決の影響

 

この判例の判決は、あいまいな身分のまま医療機関で働く研修医を
「労働者」と認めた最高裁の初判断です。

 

研修医の過酷な勤務実態が医療ミスにつながっていると指摘され、
臨床研修が平成16年から義務化された中、
給与の支払い等の待遇改善に影響を及ぼしています。

 

同時に、医療の現場では、研修医に限らず、
看護職を含む医療職が職務にふさわしい労働者として
権利を守られるべきという、
当然な考えの広まりを後押しした判決ということができるでしょう。

 

つまり、医療者が活き活きと労働していくことを考える
基点となる判例となっているはずです。

 

今後は、医療者が活き活きと労働していく
環境をつくっていくことが大切だと思います。