看護師のためのトラブルと法的知識

病院の悪口をネットで配信された場合の対応

病院の悪口をネットで配信されているものを

インターネット上で良く見かけます。

 

そのため、書かれた病院が不利益となった場合、
サイトに書き込んだ人や、サイト管理者に責任を問うことができるのでしょうか。

患者さんが書き込んだ場合は、具体的な内容を
よく調べることが大切です。

 

@ 病院の悪口をネットで配信された場合の対応

 

インターネットは、誰もが簡単に情報を発信することができ、
誰でも容易にその内容を目にすることができます。

 

このようにインターネットには大きなメリットがありますが、
しかし、大きな落とし穴があります。

 

他人の文章や写真等を盗用する可能性も高くなり、
著作権等の侵害も生じます。

 

また、人の名誉を簡単に傷つけること(刑法230条/名誉毀損)も
できてしまいます。

 

いわれのない営業妨害は、
刑法233条の信用毀損及び業務妨害に該当します。

 

A 病院が被害者の場合

 

病院(法人)とはいっても名誉の主体です。

 

ですから、適正な業務は保護されなければなりません。

 

不適切な表現がある場合は告訴する、
或いはサイトの管理者に削除を申し入れるべきです。

 

この場合、プロバイダ責任制限法では、削除となります。
厳密には、削除した場合の発信者から
プロバイダへの損害賠償請求の制限を規定することで
削除要請に応じやすくしています。

 

また、サイト管理者には、発信者の名前などの開示を
求めることも可能です。

 

さらに、このような書き込みにより、病院の収入が減った場合は、
民法709条、710条、723条、最高裁昭和39年1月28日判決により、
発信者に対し、不法行為として損害賠償を求めることができます。

 

B 具体的な内容の場合

 

患者さんが病院に対する不平や不満を記載した場合が
最も問題です。

 

「具体的な事実を挙げている」場合は、
理論的にそれが虚偽でなくても刑法230条1項によりそれは名誉毀損になります。

 

刑法233条の信用・業務妨害の場合は、
その事実が虚偽であることが前提です。

 

ですが、患者さんが不平をいうこと自体には
理由がある場合があります。

 

何が患者さんにゆるされるか、
何が許されないかの線引きは微妙であり、
記載の内容や表現の仕方が度を越えているかを
具体的に検討しなければ判断することができません。

 

C サイトの開設者や管理者の責任

 

サイトの開設者や管理者が、
サイト上でやり取りされている情報に責任を負うかどうかという問題ですが、
この問題は、「2ちゃんねる動物病院事件」などをきっかけに
論じられるようになっています。

 

そして、現在は立法的な解決が図られています。

 

プロバイダ責任制限法は、特定電気通信による
情報の流通により他人の権利が侵害された場合について定めています。

 

サイト管理者にあたる特定電気通信役務提供者は、
これによって生じた損害について、
権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を
講ずることが技術的に可能な場合で、
以下のいずれかに該当するときは、賠償の責めがあるとしています。

 

 1) 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による
   情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ったとき。

 

 2) 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による
   情報の流通を知っていた場合であって、
   当該特定電気通信による情報の流通によって
   他人の権利が侵害されていることを知ることができたと
   認めるに足りる相当の理由があるとき。

 

サイト管理者の損害賠償義務を肯定した
2ちゃんねる動物病院事件の例を見てみます。

 

この事件では、2ちゃんねるそのものが
情報書き込み者の匿名性を保証していました。
そして、書き込み者を特定することが不可能となり、
事実と異なる発言や名誉毀損を生じやすい環境となっています。

 

いわば管理者自身が名誉毀損を幇助したとみることができるため、
書き込み内容に対する重大な責任を有するとされたのです。
(東京地裁平成14年6月26日判決)

 

 *ブロバイダ責任制限法

 

  特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合、
 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限、
 及び発信者情報の開示を請求する権利を定めたものが
 「ブロバイダ責任制限法」です。