看護師のためのトラブルと法的知識

生殖捕助技術のルール

夫婦以外の精子や卵子等を使用して行う不妊治療のルール作りや、

生まれた子の法的地位についての検討が行われていますが、
そのあらましはどのようになっているのでしょうか。

少子化が進んでいる中、親のニーズが先鋭化し、
技術を後押しするので、今後はいろいろなケースが出てくる問題であると
予想がされます。

 

不妊の悩みを抱えるカップルにとって、
不妊治療は切実な問題です。

 

日ごろの業務に流されるだけではなく、
法的問題、倫理的な問題について、仲間と立ち止まり、
考える機会を持つことが必要でしょう。

 

考える機会をもち、考えてケアすることで、
より質の高いケアを提供することができるようになるのではないでしょうか。
@ 生殖捕助技術を用いた出産の多様性

 

今までは、子供が生まれる過程は、法律上の夫婦の間で、
夫の精子と妻の卵子が、性行為によって、
妻の卵管内で受精し、子宮内で着床し、一定の期間懐胎し、
妻が分娩するという過程でした。

 

ですが、生殖捕助技術が発達したことにより、
人工的な操作が可能になっています。

 

たとえば、メディアをにぎわせた「代理母出産」では、
「法律上の夫婦の間」、「夫の精子」と「妻の卵子」、
という点では満たされます。

 

しかし、「性行為」、「妻の卵管内で受精」、「子宮内で着床」、
「一定の期間懐胎し妻が分娩する」という点では満たされません。

 

そして、どこまでが許され、
どこからが許されないかという事が問題になります。

 

つまり、生命の倫理に生ずる典型的な「線引き問題」が
生じていることになります。

 

A 生殖捕助技術を用いた出産の倫理的問題・法的問題

 

不妊に悩むカップルにとって、
不妊治療、つまり生殖補助技術は切実な問題です。

 

社会的な背景から見ても、
子供を授からないということがプレッシャーになる
ということも考える必要があります。

 

夫以外の精子は良くて、妻以外の卵子はいけないとするのであれば、
それはなぜなのか、生まれてくる子の福祉は誰が守るのか、
その過程で生命(いのち)の選別が行われないのか、
各クリニックで生殖捕助技術の有する倫理的・法的問題を
判断できるのかなど、生殖捕助技術を取り巻く分野は、
生命倫理の基本問題の宝庫となっています。

 

 

現在のところ、法律や指針による公的な規制はありません。

 

日本産科婦人科学会による戒告がありますが、
学会は任意団体ですから、戒告に反しても、
大きなペナルティーとなることはありません。

 

そこで、生殖捕助技術の使用の範囲については
厚生科学審議会生殖捕助医療部会が、
生まれてくる子供の法的地位については
法制審議会生殖捕助医療機関親子法部会が
主に検討を重ねています。

 

厚生科学審議会の2003年4月の部会の報告書では、
代理出産は禁止されることになっています。

 

しかし、現在も週刊誌を賑わせています。

 

平成19年3月23日の最高裁判決では、
日本における戸籍受理が認められなかった有名タレントの
代理出産が物議をかもし、問題となっています。
この判例は、結局、生まれた子供の日本国籍は認められず、
立法政策の問題とされています。

 

生殖捕助技術は、今まで普通に行われていた
「親子とは」、「家族とは」、「子供を産むとは」と言う、
人間、家族、社会観を変える可能性があり、
技術もどんどん先に進んでいます。

 

少子化の中、親のニーズも高くなり、
技術がこのニーズに応答し、今後さまざまなケースが出てくることでしょう。

 

●人工授精:artificial insenmination

 

人工授精とは、注入器を使用し、精液を直接子宮腔に注入する方法です。

 

・配偶者間人工授精: 精子→夫、卵子→妻、子宮→妻
・非配偶者間人工授精: 精子→他人、卵子→妻、子宮→妻
・代理母: 精子→夫、卵子→妻・他人、子宮→他人

 

●体外受精:in vitro fertilization(IVF)

 

体外受精とは、人為的に卵巣から取り出した卵子を
体外で精子と受精させ、受精卵を子宮腔に戻す方法です。

 

提供精子による体外受精: 精子→他人、卵子→妻、子宮→妻
提供卵子による体外受精: 精子→夫、卵子→他人、子宮→妻