看護師のためのトラブルと法的知識

実習と個人情報保護(守秘義務違反の責任)

学生が実習に向かう朝のバスの中で実習記録を書いたり、

帰りのバスの中で患者さんを話題にしたりするなどして
問題になったことがあります。

 

このようなことは、どのような結末になるのでしょうか。

個々の実習生も、患者さんの情報を漏洩した場合には、
損害賠償責任を負担することになります。

 

@ 漏洩した場合の責任

 

実収記録の内容が漏れた場合は、
実収記録は、看護(実習)過程で取得された個人情報として、
個人情報保護法21条により、
個人情報管理者(通常は病院長)による従業員の監督が
十分でなかったとして、
管理者は、個人情報保護法34条、56条により
個人情報保護法の義務違反の責任を問われる可能性があります。

 

この場合の従業者に、実習生も入る可能性があります。

 

個々の実習生も、患者さんの個人情報を保護する義務や
守秘する義務は法律にかかわらずあります。

 

これが侵害された場合は、民法709条により
個々の患者さんから損害賠償の請求を受ける場合があり、
宇治市住民基本台帳データ流出事件では、1件当たり1万円の
賠償金の支払いをすべしという、最高裁平成14年7月11日判決があります。

 

 *最高裁平成14年7月11日判決の宇治市民住民基本台帳データ流出事件

 

  宇治市が住民基本台帳を利用したシステムの開発を
 民間業者に委託したところ、再々委託先のアルバイト従業員が
 住民21万人の台帳(氏名、性別、生年月日、住所、転入日、転出日、
 世帯主氏名、続柄)をコピーし、名簿業者に漏洩した事件です。

 

  この事件では、最高裁は、実質的な指揮・監督関係があったものとして、
 宇治市の使用者責任を認め、市に住民1人あたり1万円の慰謝料の支払いを
 命じています。

 

今後はプライバシーの尊重の流れを受け、
それ以上の金額になることを心すべきです。

 

実習生には、法的・倫理的義務があることを抽象的に伝えるのではなく、
また、賠償責任があると「脅す」だけではなく、
このようなケースを可能な限り共有することが大切です。

 

その際、家族が患者さんのお見舞いに来ていて、
聞いたらどのような気持ちになるのかなど、
現実に直面させる教育が必要です。