看護師のためのトラブルと法的知識

外泊患者さんからの電話

夜勤の際、外泊中の患者さんから、

症状について相談の電話を受ける場合もあります。

 

そのような場合、ある程度話を聴いて何らかの判断をするのか、
とにかく受診を勧めるのか迷います。

 

何かあったとき、訴えられると困るから、
電話では余計な話しはしないほうが良い。と意見もあります。

 

このような外泊患者さんからの電話には、
どのように対応すべきなのでしょうか。

電話での対応には、メリットがありますが、
反面、デメリットもあります。

 

これらをしっかりと踏まえ、慎重に対処すべきです。

 

事前に対応について、医師などと協議しておくことが必要です。

 

@ 電話対応の実態

 

現在、緊急医療体制の整備が急務とされています。

 

実際には、救命救急士に許される医療行為の拡大や、
24時間診療に応じる「東京ER」の開設などが相次いでいます。

 

そして、今現在も、救急時、患者さんが限られた人的・物的医療資源に、
どのように適切にアクセスできるかについては、
さまざまな問題を抱えながら検討が進んでいます。

 

このような中、患者さんの医療へのアクセス調整という
看護師の新たな専門性が問われます。

 

このケースのように、外泊中の患者さんから電話が来るというような場合も、
看護師の専門性が期待される場面なのですが、
「訴えられたら困るから、いっさい相談には応じず、
とりあえず受診してもらう」という画一的な処理となっていることが多いです。

 

そして、現場の考える力をそぐ結果となっています。
A 対応のポイント

 

このような外泊中の患者さんからの電話相談に関しては、
ケースバイケースで対応することが必要ですが、
メリット、デメリットを踏まえ、慎重に対応しなければなりません。

 

明らかに「こうするのが正しい」ということはできませんが、
以下のようなポイントを抑え対応してみてはいかがでしょうか。

 

1) 不適切な対応は、医師ないし病院の応召義務違反となるということです。
  医師は、診療治療の求めがあった場合、応召義務を負います。

 

  医師法19条により、正当な理由がない限り拒むことはできません。

 

  また、病院に関しては明文化されたものはありませんが、
 有力な考え方としては、医師法1条の5第1項により、
 病院にも義務があると解されています。

 

 ●医師法19条1項

 

  「診療に従事する医師は、診療治療の求めがあった場合は、
 正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」

 

 ●医療法1条の5第1項

 

  「病院とは医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため
 医業又は歯科医業を行う場所であって、
 20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
  病院は、傷病者が科学的でかつ適正な診療を受けることができる
 便宜を与えることを主たる目的として組織され、
 かつ、運営されるものでなければならない。」

 

2) 看護師は、医師の指示を受けない限り、
  医師法17条、保健師助産師看護師法37条により、
  医療上のアドバイス等はできません。
   しかし、患者さんがもとめているものが
  いつも医療上の問題とは限りません。
   さまざまな療養上の指導(医師法23条)はできるはずです。

 

3) とはいっても、このケースの場合のように、
  あくまでも電話で聞き取る内容からだけでは、
  確実なアドバイスはできないということもわきまえなければなりません。

 

4) このような問題が生ずるのは、
  外泊帰宅時に、十分な指導をしていなかったことが
  原因である可能性もあります。

 

このようなポイントを抑えると、
看護師が学ぶことは次のようになります。

 

まず、さまざまな状況にある患者さんからの電話相談を想定し、
模擬訓練を行うことです。

 

そして、「聴く」技術を養いましょう。

 

当該患者さんがから電話があった場合に備え、
外泊を許可した医師と対応方法や内容について協議することも必要です。

 

何かあったら困ると考え、来院を強いるのではなく、
外泊に伴う予想された状態であるかどうかについて
あらかじめ検討しておき、
それに対する自分の判断力を養っていれば、
自信を持って電話に対応することができます。

 

 ●退院した患者さんの場合

 

  病院の現場では、外泊中の患者さんだけでなく、
 退院した患者さんからの電話相談もあります。
  外泊中の場合は、診療契約が継続中ですから、
 入院患者さんとほぼ同じ対応義務があります。
  しかし、退院患者さんの場合は、診療(入院)契約は切れています。
 ですから、契約上の義務は想定しにくいでしょう。
  ただ、診療契約等は、民法上は準委任契約です。
  ですから、契約終了後のフォローアップが求められる可能性もあります。